〈月影ノ乙女〉は、〈月の獣(けもの)〉を身の内に住まわせている。それはことあるごとに、人は独(ひと)りで生まれて独りで生き、独りで死んでいくのだと囁(ささや)くのだ……。精霊の恵み深き国ハスティア。ジルは幼い頃から卓越した魔法の力を発揮し、国に仕える魔法師(フォーリ)となった。だが、平和で豊かな国ハスティアを虎視眈々(こしたんたん)と狙う者がいた。竜に変じる王を戴くドリドラヴの侵略を受け、戦火に踏みにじられるハスティアの町々。掟によって魔法での攻撃を禁じられているフォーリたちは苦悩を深める。無辜(むこ)の民の命を救うためにジルたちの選んだ道は……。
『夜の写本師』でデビューした異世界ファンタジイの紡ぎ手が今放つ渾身の大作。解説=小出和代
ツキカゲノオトメ 月影の乙女
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