ミステリ・SF・ファンタジー・ホラーの専門出版 TOKYO SOGENSHA

ソノムカシ、エヌシデハ その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選

その昔、N市では

在庫あり

定価
2,200円(本体価格:2,000円)
ジャンル
  1. 一般文芸 > 幻想小説
  1. 一般文芸 > 短編集
判型
四六判上製
ページ数
222ページ
初版
2022年9月30日
ISBN
978-4-488-01117-8
Cコード
C0097
装画
村上早
装幀
岡本歌織(next door design)

オンライン書店で購入

内容紹介

兄は船旅に出る妹を見送ったが、それは彼女が乗る予定の船ではなかった。ひと月後、妹から手紙が届く。彼女は、その船では日付も時刻も現在位置も確認できないと書いていた。手紙を読み進めるにつれ、その内容はさらに常軌を逸していき……(「船の話」)。ある日突然、部屋の中に謎の大きな鳥が現れる。“わたし”は、なぜか外にでていかない鳥の正体を突き止めようとするが……(「ロック鳥」)。旅行から帰ったら、自分が死んだとアパートの住人に触れまわった女がいたという奇妙な話を聞かされる(「六月半ばの真昼どき」)。大都会N市では、死体から蘇生させられた“灰色の者”たちが、清掃や介護などの労働を人間の代わりに行っていた。彼らに生前の記憶は一切なく、恐怖も希望も憎悪も持ち合わせていない。しかしある時、“灰色の者”たちにすさまじい変化が訪れ……(「その昔、N市では」)。

日常に忍びこむ奇妙な幻想。背筋を震わせる人間心理の闇。懸命に生きる人々の切なさ。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、全15作の日本オリジナル傑作選!

目次

「白熊」
「ジェニファーの夢」
「精霊トゥンシュ」
「船の話」
「ロック鳥」
「幽霊」
「六月半ばの真昼どき」
「ルピナス」
「長い影」
「長距離電話」
「その昔、N市では」
「四月」
「見知らぬ土地」
「いいですよ、わたしの天使」
「人間という謎」

著者紹介

マリー・ルイーゼ・カシュニッツ

1901年、ドイツのカールスルーエ生まれ。詩人、小説家。考古学者の夫の任地を転々とし、フランクフルトやローマに滞在。1930年代から創作活動を開始し、詩や小説、ラジオ・ドラマの脚本、エッセイなど多くの領域で活躍した。1955年にビューヒナー賞を、1970年にヘーベル賞を受賞。日本オリジナル短編集『六月半ばの真昼どき──カシュニッツ短篇集』『その昔、N市では――カシュニッツ短編傑作選』があるほか、「怪談」が『現代ドイツ幻想小説』に収録されている。その他の著作に『精霊たちの庭』『ギュスターヴ・クールベ――ある画家の生涯』など。1974年没。

酒寄進一 (サカヨリシンイチ)

ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書として、2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれたシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス『友情よここで終われ』、ザルテン『バンビ――森に生きる』などがある。

この本もおすすめ