内容紹介
作曲家で聖職者だったヴィヴァルディは、膨大な数の自筆楽譜を遺した。兄の魂を守ろうとする弟、欲にまみれた司祭、古書愛好家、ユダヤ人音楽学者、ムッソリーニ、詩人エズラ・パウンド…様々な人間の愛憎、欲望、無知が絡み合い、楽譜は数奇な運命を辿る。優れた小説に与えられるG・コミッソ文学賞受賞。訳者あとがき=関口英子・栗原俊秀/解説=田村和紀夫
著者紹介
フェデリーコ・マリア・サルデッリ
1963年イタリア、リヴォルノ生まれ。11歳で作曲を始め、12歳で風刺雑誌に漫画を寄稿するようになり、現在も同誌の看板作家として活躍。哲学を学んだ後、バロック音楽のオーケストラ、モード・アンティクオを創設、指揮者となる。フィレンツェの音楽アカデミーでリコーダーやフルートの指導にあたり、音楽学者、研究者としての業績に対する評価も高い。作曲家、指揮者、学者、画家、版画家、漫画家……等、その活躍の幅広さは、鬼才の名にふさわしい。
関口英子
(セキグチエイコ)
イタリア文学翻訳家。大阪外国語大学イタリア語学科卒業。訳書に『月を見つけたチャウラピランデッロ短篇集』(第一回須賀敦子翻訳賞受賞)、P・レーヴィ『天使の蝶』、I・カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』の他、A・ファリネッリ『なぜではなく、どんなふうに』(共訳)等がある。
栗原俊秀
(クリハラトシヒデ)
1983年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了後、イタリアに留学。カラブリア大学文学部専門課程近代文献学コース卒業。2016年、C・アバーテ『偉大なる時のモザイク』の翻訳で、第二回須賀敦子翻訳賞受賞。他にJ・ファンテ『満ちみてる生』等の訳書がある。