●岸本佐知子推薦「ひとつ手紙を開くたびに、心は地上のはるか彼方に飛ばされる。
手紙を受け取るということは、もうそれだけで旅なんだ。」
「さっきまでいた国のことを書きます。国の中の小さな特別区である町のような自治国には、いわゆる“お金”がありません。貨幣の代わりに“踊り”を踊ります。」「メモを取っている最中に、ボールペンのインクが切れました。カウンターに売り物のボールペンがあったので、ひとつくださいと小銭を渡すと、『この町では文字は残らないよ』と言って手渡されました。」「窓の外に目をやると、周囲の海面にたくさんの黒っぽい動物が集まってきているのが見えました。ラッコです。そのうちの一匹が、手にもった石を飛行機の翼のうえに置きました。『彼らなりの手向けなのよ。この機の運命をさとってるのね』」
三人の作家がそれぞれ架空の土地をめぐる旅に出た。旅先から送り合う、手紙、スケッチ、写真――27の幻想旅情リレー書簡集。
タビショカンシュウ ユキアッテシアサッテ 旅書簡集 ゆきあってしあさって
在庫あり