ミステリ・SF・ファンタジー・ホラーの専門出版 TOKYO SOGENSHA

セイジャク 静寂 ある殺人者の記録

静寂

在庫なし

定価
2,420円(本体価格:2,200円)
ジャンル
  1. 一般文芸 > 一般文芸
判型
四六判上製
ページ数
320ページ
初版
2017年6月16日
ISBN
978-4-488-01069-0
Cコード
C0097
装画
高山裕子
装幀
山田英春

オンライン書店で購入

内容紹介

蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作!

◇ 読者モニターの絶賛の声 ◇
おどろおどろしい話を淡々と美しく紡いでいく作者の力量に感服。――30代女性

忘れられない物語に、また出会うことができた。――40代男性

犯人をあぶりだす物語ではなく、ただ、幸せを願った物語。 凄惨なのに、不思議と心温まる。圧倒的でした。――30代男性

最後まで読み終わってみると最初の言葉の意味がわかるという、一つの輪のような素晴らしく美しい作品でした。――20代女性

著者紹介

トーマス・ラープ

1970年生まれ、オーストリアのウィーン在住の作家、作曲家、ミュージシャン。2007年にDer Metzger muss nachsitzenで作家デビュー。同書をはじめとする美術修復家メツガーが主人公のミステリ・シリーズは、現在までに7作刊行されている。2011年に、シリーズ4作目が書店や学校などが投票権を持つ文学賞Buchliebling(愛読者賞)のミステリ&スリラー部門を受賞。2013年には6作目がウィーン市とオーストリア書籍販売協会が主催するレオ=ペルッツ賞を受賞。また、シリーズ中2作がドイツのテレビ局ARDの制作で2014年夏にドラマ化された。2015年、作風や文体を変え、初めて文学の領域に踏み込んだ『静寂』が、本国だけでなくドイツ語圏の読書界で非常に高く評価された。『静寂』はすでにオランダやスペインなどで翻訳刊行されている。

酒寄進一 (サカヨリシンイチ)

ドイツ文学翻訳家、和光大学教授。主な訳書として、2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位に選ばれたシーラッハ『犯罪』、2021年日本子どもの本研究会第5回作品賞特別賞を受賞したコルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ『デーミアン』、ブレヒト『アルトゥロ・ウイの興隆/コーカサスの白墨の輪』、ケストナー『終戦日記一九四五』、ノイハウス『友情よここで終われ』、ザルテン『バンビ――森に生きる』などがある。