蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、草むらを這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って生まれた。あらゆる音は耳に突き刺さる騒音になり、赤ん坊のカールを苦しめる。息子の特異さに気づいた両親は、彼を地下室で育てることにした。やがて9歳になった彼に、決定的な変化が訪れる。母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、自分の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質な存在になってしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く研ぎ澄まされた傑作!
◇ 読者モニターの絶賛の声 ◇
おどろおどろしい話を淡々と美しく紡いでいく作者の力量に感服。――30代女性
忘れられない物語に、また出会うことができた。――40代男性
犯人をあぶりだす物語ではなく、ただ、幸せを願った物語。 凄惨なのに、不思議と心温まる。圧倒的でした。――30代男性
最後まで読み終わってみると最初の言葉の意味がわかるという、一つの輪のような素晴らしく美しい作品でした。――20代女性
セイジャク 静寂 ある殺人者の記録
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