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2017.04.13


【募集期間は終了しました】オーストリア発、純粋で奇妙な殺人者の生涯を描く『静寂――ある殺人者の記録』ゲラ版読者モニター大募集!!

6月、オーストリアの著名な作家トーマス・ラープによる『静寂――ある殺人者の記録』を刊行いたします。本書は刊行するやいなやドイツ語圏の読書界が騒然となった、衝撃の物語です。

蝶の羽ばたき、彼方の梢のそよぎ、森を這うトカゲの気配。カールは、そのすべてが聞こえるほど鋭敏な聴覚を持って産まれた。9歳のとき、心を病んだ母親の入水をきっかけに、彼は死という「静寂」こそが安らぎであると確信する。そして、人の手で、誰かに死を贈ることもできるのだと。――この世界にとってあまりにも異質に生まれついてしまった、純粋で奇妙な殺人者の生涯とは。
この作品は、フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』を翻訳されている酒寄進一先生による持ち込みによって翻訳刊行されることになりました。翻訳された酒寄進一先生から、読者のみなさんへのコメントもいただいております。

■静かに心に響くこの作品をご賞味あれ

『静寂』をはじめて読んだときは衝撃でした。こんな人生があるとは。主人公カールは赤ん坊のときから聴覚が人一倍鋭敏で、泣き止まなかったことが、すべてのはじまりでした。両親は音の届かない地下で彼を育てます。社会の価値観と切れた環境で育った彼は、静かであることが幸福だと信じ、周囲の人々を幸福にしたいがばかりに静かにしていきます。つまり殺人に及ぶ。
本書のテーマはずばり「愛情表現としての殺人」。さてその行き着く先は......恐いもの見たさでぜひ読んでみてください。(酒寄進一)

担当編集者であるわたくし翻訳班Sは、翻訳原稿を読んだときに、あまりの展開の奇妙さに非常に驚きました。同時に、とてつもなく美しく純粋な、深い森が脳裏に浮かんできました。そして、蝶の羽ばたきすら聞こえるほどの聴覚を持つという異質な主人公の生涯を見事に描ききった、著者のイマジネーションの豊かさに感嘆するばかりでした。読み終わったあとの余韻もすばらしく、感想を人と語り合いたくなる傑作です。

短く端正な文章で綴られており、非常に読みやすいところも魅力です。特に、シーラッハ作品がお好きな方はこちらも気に入っていただけるのではと思います。

以下で刊行時に本国で作成された本のトレーラーがご覧いただけます。作品の雰囲気が伝わってくるたいへん美しい映像です!



* * *

本書の刊行に際し、いち早くお読みになりたい方を対象に発売前のゲラ版の読者モニターを募集します。
応募期間は、2017年4月14日(金)~20日(木)までとなります。
募集予定人数は30名です。応募者多数の場合は抽選となります。

※ゲラ版は、最終稿前の原稿のコピーになります。印刷・製本されたものではございませんので、ご了承ください。また、修正前の誤植等がある場合もございます。

■トーマス・ラープ著/酒寄進一訳『静寂――ある殺人者の記録』ゲラ版読者モニター応募について

・応募資格
4月21日ごろにお送りする『静寂――ある殺人者の記録』のゲラ版をお読みいただき、5月8日(月)までに感想などのコメントをいただける方

・応募URL
以下のURLのフォームからお申し込みください。
【募集期間は終了しました。】

・応募期間
2017年4月14日(金)~20日(木)

・募集人数
30名(応募多数の場合は抽選となります)

・結果発表
当選者にはメールにてお知らせの上、ご登録いただいたご住所までゲラをお送りさせていただきます。

・コメントについて
コメントは、こちらでご用意させていただくフォームに、5月8日(月)までにご記入ください。

※ いただいたコメントは、本の帯、書店用POP、チラシ等の販促物の他、ホームページおよびTwitter、Facebook等で使用させていただく場合があります。
※ご自身のブログ、Twitter等への書き込み・ご紹介については大歓迎いたしますが、公開時期についてはご相談させていただきます。

farbe ■書誌情報
・『静寂――ある殺人者の記録』(東京創元社)
・著者 :トーマス・ラープ
・訳者 :酒寄進一
・ISBN :978-4-488-01069-0
・ページ数 :336ページ
・装幀:山田英春
・装画:高山裕子

■著者紹介
トーマス・ラープ(Thomas Raab)
1970年生まれ。ウィーン在住。作家、作曲家、ミュージシャンとして活動。2013年にレオ=ペルッツ賞受賞。美術修復家メツガーを主人公とするミステリのシリーズ(既刊5冊)で知られるオーストリアを代表するミステリ作家のひとりだが、初めて文学の領域に踏み込んだ本書で、本国だけでなくドイツ語圏の読書界で非常に高く評価され、不動の名声をものにした。

■訳者紹介
酒寄進一 (さかより・しんいち)
1958年生まれ。ドイツ文学翻訳家。上智大学、ケルン大学、ミュンスター大学に学び、新潟大学講師を経て和光大学教授。主な訳書に、イーザウ《ネシャン・サーガ》シリーズ、ブレヒト『三文オペラ』、ヴェデキント『春のめざめ――子どもたちの悲劇』、シーラッハ『犯罪』、ノイハウス『深い疵』、グルーバー『夏を殺す少女』ほか多数。