「どんな本を書いてるの?」と尋ねられ、「うーん、まあ、色々」と自分でも答えに困るような作品ばかりを書いてきたのですが、今回、ミステリ・フロンティアで書かせてもらえるというお話をいただいたときは、よし、今度は正真正銘のミステリを書いてやろう、と心に誓ったものでした。
そして、結果的に書き上がったこの作品、一見すると微妙なジャンルに思われるかもしれませんが、ミステリ度100%増量!(当社比)の仕上がりとなっておりますので、是非ともお手にとって確かめていただければ幸いです。
執筆中のことを思い起こせば、担当の桂島さんと打ち合わせで顔を合わせる度に「あとでちょっと難しいお願いをするかもしれません」と言われ、いつも内心でギクリとしていたものです。しかし、実際に聞いてみれば、難しいお願いというよりも要所を突いたアドバイスだったので、お陰で自分でも納得のいく作品を書き上げられました。何しろ、書いている本人でさえプロットと睨めっこしなければ話の筋が分からなくなるほど入り組んだ構成になっていまして、これ以上は何も付け足せないほどの密度になったかと思います。
果たして読者の方を満足させられる内容になっているかどうか、こればかりは断言出来ないのですが、出来るだけ多くの方を楽しませる作品になっていることを願っています。
(2007年6月)