東京創元社60周年

 

わたしと東京創元社  美輪和音(作家)

 

空飛ぶ馬

 ミステリを書いているのにどんどんホラーに寄っていってしまう。どうしてこんなに怖いものに惹かれるのか? それはきっと、東京創元社の『怪奇小説傑作集』のせいです。あれを読んで以来、私はずっと怖いものの魅力に取り憑(つ)かれているのだと思います。

 

 拙著を読んで、これはミステリではなく、ホラーなのではと思われた方は、ああ、この人がこうなってしまったのは、東京創元社のせいなのだなと、ご理解ご容赦いただけましたら幸いです。

 

 幸運にも東京創元社からデビューさせていただき、四年が過ぎました。お世話になって、ひとつひとつの作品に丁寧に真摯(しんし)に向き合ってくれる会社なのだと実感しております。今後とも末永くよろしくお願いいたします。

 

 ところで東京創元社の60周年記念キャラクターにホラー的な魅力を感じ、ゾクゾクしてしまうのは私だけでしょうか? くらりとニルが猫だかうさぎだかわかったあとも、いまだにゾクゾクしてしまうのですが……。

 


■美輪和音(みわ・かずね)
東京都生まれ。青山学院大学卒。大良美波子名義でシナリオライターとして『着信アリ』シリーズを手掛けるなど活躍。2010年「強欲な羊」で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞。主な著書に『強欲な羊』『ハナカマキリの祈り』『8番目のマリア』がある。