18106 page 7/10
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13考えこんでから言葉を継いだ。「面白いよね、このクリプトだけ何か特別なんだもの。いつも誰かが何か持ってきてる。で、そういう人はたいてい、しばらくここに佇たたずんで、思い巡らしたり、祈りを捧げたり、内な....
13考えこんでから言葉を継いだ。「面白いよね、このクリプトだけ何か特別なんだもの。いつも誰かが何か持ってきてる。で、そういう人はたいてい、しばらくここに佇たたずんで、思い巡らしたり、祈りを捧げたり、内なる自分と話したりしてる。中には、写真を撮らせてくれる人もいるわ」「ここって、誰でも勝手に入れるの眤」床に散らばる花束や小さなおもちゃに顎をしゃくった。「ううん、こういうのはみんな、柵越しに投げ入れるの。ベイビュー墓地はどのクリプトにも鍵をかけてる。でないと、どうなるかわかったもんじゃないし。鍵っていえば、どうやって墓地正門から入ってきたの眤」「修復をするのはいつも夜だから、マスターキーをもらってるのよ」ルイ少年の遺物箱周辺に懐中電灯の明かりを走らせながら答えた。「休憩してたら、この丘の上にあなたの懐中電灯の明かりが見えたから、つい気になっちゃって。でも、何で盻眇」 わたしは金切り声をあげて飛びあがり、懐中電灯を落とした。「何なのよ眤」シンディが顔をしかめた。「ごめん、何か動いたみたいだったから」心臓をドキドキさせたまま屈み、ぐったりした毛糸の髪の布人形ラガディ・アンの膝から懐中電灯を拾いあげた。扉の向こうを照らしてみる。まったくもって異常なし。「気のせいだったみたい」「夜の墓地だし」シンディは肩をすくめてからしゃがみこみ、カメラをしまったバッグのファスナーを閉めた。「たいていの人はびくつくわよ。ネズミでもいたんでしょ、きっと」