18106 page 4/10
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10いだろう。〝大事なかわいい天使?ルイ・ジョナサン・スペンサーは、一九三七年に六歳で亡くなっていたから。「いまだにおもちゃを供そなえ続けてるなんて、この子の家族、すごいわね」わたしはつぶやいた。「家族....
10いだろう。〝大事なかわいい天使?ルイ・ジョナサン・スペンサーは、一九三七年に六歳で亡くなっていたから。「いまだにおもちゃを供そなえ続けてるなんて、この子の家族、すごいわね」わたしはつぶやいた。「家族がやってるんじゃないわ」 その若い女性は、重そうな金属製の巻尺で扉の大きさを測り終えると、寸法をメモ帳に急いで書きとめた。集中するあまり、若干不機嫌そうな顔になった彼女は、カチッとノックしてボールペンの芯をしまい、クリップボードのクリップの下に差しこんでから、ボードごと大きなキャンバス地のキャリーオールにしまう。次いで、自分の頭ほどもある、見るからに複雑な大きなカメラをとりあげると、しゃがみこみ、ルイの死を悼んで置かれたいろいろなものの写真を撮りはじめた。「この霊クリプト廟は、維持費すら払ってもらってないの」彼女は言葉を続けた。「だから今にも崩れ落ちそうなのよ」 夜の闇の中で何度も焚かれるストロボのせいで、石とコンクリートでできたピラミッド型のクリプトが、まるでディスコみたいに光った、およそ似つかわしくはないけど。明滅する光の中、錆ついた錬鉄製の扉の向こうに広がるクリプトの中が窺うかがえた。中央にバラを一輪配し、十字架をかたどったステンドグラスの窓が一枚。が、一部は破損し、窓そのものの重みでたわんでいる。しかも、それ以上の破損を防ぐべく、鶏舎用の安っぽい金網で覆われてもいた。そん