幻想と抒情のSF詩人ブラッドベリの不思議な呪縛の力によって、読者は三次元の世界では見えぬものを見せられ、触れられぬものに触れることができる。あるときは読者を太古の昔に誘い、またあるときは突如として未来の極限にまで運んでいく。驚嘆に価する非凡な腕をみせる、作者自選の16編を収めた珠玉の短編集。はしがき=レイ・ブラッドベリ/解説=牧眞司
*「霧笛」は映画『原子怪獣現わる』(1953年/ユージン・ローリー監督)原作
*「雷のとどろくような声」は映画『サウンド・オブ・サンダー』(2004年/ピーター・ハイアムズ監督)原作
*讀賣新聞2007年3月26日付掲載 第10回「新!読書生活」で石田衣良氏が推薦
*讀賣新聞2009年4月4日夕刊掲載 「愛書探訪」で石田衣良氏が紹介
「「ウ」は宇宙船の略号さ」
「初期の終わり」
「霧笛」
「宇宙船」
「宇宙船乗組員」
「太陽の金色(こんじき)のりんご」
「雷のとどろくような声」
「長雨」
「亡命した人々」
「この地には虎数匹おれり」
「いちご色の窓」
「竜」
「おくりもの」
「霜と炎」
「タイム・マシン」
「駆けまわる夏の足音」
レイ・ブラッドベリ
1920年、アメリカのイリノイ州に生まれ、34年にカリフォルニア州へ移住。少年時代からSFを耽読し、41年にヘンリー・ハースとの共作「振子(ふりこ)」で商業誌デビュー。その後、独特の流麗な文体により“SFの叙情詩人”と呼ばれるまでになる。代表作に『何かが道をやってくる』『火星年代記』『華氏451度』『10月はたそがれの国』など。また56年にはジョン・ヒューストン監督映画『白鯨』の脚本を担当した。2004年、アメリカの芸術家にとって最大の栄誉であるナショナル・メダル・オブ・アーツを受賞。12年没。