ニューヨーク地方刑事裁判所で、奇妙な裁判が進行していた。お抱え運転手が殺された事件を審理していたのだが、肝心の遺体は見つからず、殺害現場と見られる地下室に焼け焦げた義歯と脛骨、右中指の先のほか血痕など若干の痕跡を残すのみ。“罪体”のない殺人事件を巡って、検事側と弁護側の烈しいやりとりが展開される!《サスペンス小説の魔術師》が仕掛ける、愛と復讐の物語!? 解説=戸川安宣
ビル・S・バリンジャー
米国の作家・脚本家。1912年生、1980年歿。アイオワ州出身。代表作に、返金保証のシステムを用いた斬新なサスペンス小説『歯と爪』、『赤毛の男の妻』『煙で描いた肖像画』などがある。