江戸川乱歩
(エドガワランポ )1894年生、1965年歿。大正12年の〈新青年〉誌に掲載された「二銭銅貨」がデビュー作。それはまた、わが国で初めて創作の名に値する作品の誕生であった。以降、「パノラマ島奇談」等の傑作を相次ぎ発表、『蜘蛛男』以下の通俗長編で一般読者の、『怪人二十面相』に始まる年少物で少年読者の圧倒的な支持を集めた。推理小説の研究紹介や、新人作家育成にも尽力した巨人である。
金色に輝く仮面をつけた怪盗が、大胆不敵な手口で日本の古美術品を次々に狙っていく。その怪人に恋をした大鳥不二子嬢を守るため、事件の渦中へと飛び込んでいく、ご存じ明智小五郎。
左腕に黒蜥蜴の刺青をした美貌の黒衣婦人。社交界の花形にして暗黒街の女王は、大阪の富豪岩瀬家の秘宝「エジプトの星」とその愛娘を狙って、大胆にも明智小五郎に挑戦状を……
『蜘蛛男』事件を終えて休養のために湖畔のホテルへやってきた明智小五郎。彼はそこで会った大宝石店の令嬢玉村妙子に、いつしか憎からぬ感情を抱くようになった。それも束の間、一足先に帰京……
次々と若い女性を誘拐し、惨殺する恐るべき殺人鬼〈蜘蛛男〉。彼はまず里見芳枝を空家の浴槽で殺し、切断して石膏像に見せかけ、衆目に曝した。次いで芳枝の姉・絹枝の心臓をえぐり、江ノ島の……
デビュー間もない時期に発表された「二癈人」を筆頭に、ご存じ明智小五郎が初めて登場した記念すべき「D坂の殺人事件」から、戦後の名品「防空壕」に至る全10編を、初出誌の挿絵を付してお届けする。
蓑浦金之助は会社の同僚木崎初代と熱烈な恋に陥った。彼女は捨てられた子で、先祖の系図帳を持っていたが、先祖がどこの誰ともわからない。ある夜、初代は……
大乱歩の歩みはそのまま日本探偵小説の歩みであった。「二銭銅貨」による衝撃的登場以来、その紡ぎ出す幻想の糸は絶えず読者を捕えてきた。本巻には「屋根裏の散歩者」……